西表島に移住してきて、地域行事を通して地域の方々とつながりができていくのだなぁと実感しています。
今回は、あきひこが働いている西表島の白浜地区の伝統的お祭り、
「海神祭(かいじんさい)」
に参加させてもらったときのことをお伝えします~!
海神祭って?
(初参加の私がきちんと説明できるか少々ドキドキですが、頑張ります(笑))
海神際(かいじんさい)は、古くは沖縄本島から伝わった、 爬竜船(はりゅうせん、ハーリー船) を漕いで競い合い、航海の安全と豊漁を祈願する伝統行事です。
毎年旧暦の5月4日に行われ、八重山諸島では、石垣島、小浜島、西表島、与那国島で開催されています。
石垣島 | 石垣市爬龍船競漕大会 |
白保ハーリー | |
船越ハーリー | |
小浜島 | 細崎ハーリー祭 |
西表島 | 白浜海神祭 |
与那国島 | 与那国町海神祭爬龍船競漕大会 |
航海の安全と豊漁を祈るということから、漁業関係者のお祭りと思われるかもしれません。
もともとの起源としてはそのような記述も見られますが、今は漁業関係者のみでなく、地域全体、島全体のお祭りとなっています。
私たちの住む西表島の海神祭は、白浜地区の伝統行事。
ここからは、私たちが実際に参加させてもらった白浜海神祭のことをベースにお話ししていきますね。
ハツカズリ。ここから、海神祭の準備がスタートです!
海神祭の20日前のハツカズリ。
お祭に向けた舟漕ぎ練習を始めるために、ハーリー船を出す行事が行われ、踊りの練習や前夜祭の準備などもこの日から正式に開始となります。
ハツカズリの催し事としては、まず、白浜地域の方々の手でハーリー船が港まで出されます。
そして、塩やお神酒をお供えし、海の安全と祭りが無事開催されることを祈願して、白浜神社に祈祷を捧げました。
伝統祭の準備は大変
白浜海神祭は、前夜祭と本祭の2日間行われます。主な行事とスケジュールは以下。
旧暦5月3日
夕方~:出店&くじ引き抽選会などのイベント
旧暦5月4日
朝~ :ハーリー(東西対抗→学校対抗→職域対抗→婦人対抗→公民館対抗)
昼~ :表彰式、式典、余興披露
夕方~:片付け
白浜の皆さんの多くは、青年会、婦人会、子供会、老人会と各所属の会に分かれ、それぞれ準備を進められるのですが、中でも海神祭前夜祭を主催する青年会は大忙し。
祭りの日当日まで連日、舟漕ぎ練習・踊りの練習・出店&イベント準備が行われていきます。
一人一役ではありません。
舟漕ぎ練習と出店準備、とか、舟漕ぎ練習と踊り練習と出店準備など、何役も担当していることが多いので、この20日間は仕事以外の時間がお祭り一色になって、本当に大忙しです。
18時~ 舟漕ぎ練習
20時~ 踊り練習
21時~ 出店など準備
私たちも、あきひこ→舟漕ぎ練習&出店準備、よせー→着付手伝い&出店準備をそれぞれ頑張ることになりました。
(その後よせーは、住んでいる地域である祖納で婦人の船に乗ることになり、舟漕ぎ練習も追加となりましたー!)
光栄な海神祭りの舟漕ぎ!だけど腕が身体が...
ハーリーには船頭1名と漕ぎ手10名の合計11名が乗ります。
漕ぎ手は"やっこ"と呼ばれる伝統的な櫂で漕いでいくのですが、10名の漕ぐタイミングが合わなければ、スピードを出すことができません。
全員で息を合わせることがとっても重要で、そのために練習が必要になります。
あきひこもよせーもハーリー練習に参加できることになり、移住一年目で光栄だなぁと思っていました。
でもいざ舟を漕いでみると、想像していた以上にタフだと判明!
力のあるあきひこでさえ、練習1日目はヒーヒー言って帰ってきました。腕力がないことに自信のある(苦笑)よせーはなおさら。
練習中、他の方々がずっと頑張って漕ぎ続けられているのに対し、私は必死に頑張っても漕ぎ続けられず。。。
途中で櫂を上げてしまうことがしばしばで、力のなさを痛感しました。
一方、あきひこはというと、1日目の筋肉痛としんどさはありながらも、2日目以降の練習からは舟漕ぎにどんどんハマっていきました。
大変ながらも楽しくて仕方ないといった様子は、横で見ていてすごいなぁと思ったり。
私は相変わらずひぃひぃ言っていたので...
舟漕ぎの面白さとダイナミックさ、そして背負う伝統や強まる団結力にすっかり魅了されました。
大盛況!海神祭の前夜祭は大忙し!
連日の夜遅くまでの準備を乗り越え、旧暦5月3日(2019年は6月5日)の18:00から、前夜祭がスタートです!
今回はこどもゲームの景品がとっても豪華ということもあってか、平日にもかかわらず、西表島の島内各地からたくさんの人たちが!!
それに比例して、白浜住民の皆さんは大忙し!
青年会で言えば、ステージMC、ゲーム準備、景品対応、音響、チケット売り場、ドリンク販売、揚げ物調理、食べ物販売、ゴミ対応など、限られたメンバーが最大限に動いて前夜祭を盛り上げていきます。
あきひこは揚げ物担当で、夕方から夜21時過ぎまでずーっと大粒の汗をかき続けながら、唐揚げや魚の天ぷらなどをひたすら揚げ続けました。
よせーの方は仕事後にかけつけてから、唐揚げなどを売り物用に小分けにしたり、ゴミステーションのお手伝いに行ったり。
二人とも白浜の皆さんと一緒に、目まぐるしく動き続けて頑張りました!
そのため、前夜祭の写真を撮る余裕が全くなく。。。雰囲気を伝えられなくてごめんなさい!!
海神祭の抽選、景品にヤギ?!
前夜祭のステージでは、来てくれた方々が楽しめるように、こどもゲームや大人ゲーム、カラオケ・パフォーマンス大会など、様々なイベントが行われました。
なかでも楽しみにしている人が多いのが、豪華景品がたくさん当たる抽選会!
協賛企業や事業者の方々からの自転車や扇風機、食事券やマンゴーなどなど本当に多くの種類の景品があったのですが、中でも私たちが驚いたのが、ヤギ!!
そうです、白くてメェ~と鳴く、あの動物のヤギです!!
ヤギが景品として出されていました!!
わーお、びっくり!
提供したのは、海神祭主催の白浜公民館。
確かに西表島島内で半分放し飼いのヤギはよく見かけますが、それでもお祭りの抽選景品としてヤギが提供されるとは、とってもびっくり&当たった人はどうするのか結構興味津々でした。
皆さんだったら、景品でヤギが当たったらどうしますか??
私だったら・・・うーん、とりあえずブログのネタにしましょうか(笑)
今年見事にヤギを引き当てたのは、小学生の男の子!
幸い(?)同じ西表島の小学校に通う子で、校長先生に直談判して校庭で飼えることになったそうです。
良かったね~、ヤギと男の子!笑
いざ本番!海神祭当日!
前日の前夜祭の片づけを日付が変わるまで皆で頑張って、いざ、本番当日、ハーリー競漕を迎えました!
見事に良い天気に恵まれて、気分は上々↑↑
いざ、20日間の練習の成果を発揮する時です。
ハーリーを漕ぐのは競漕の1度だけと思われていたかもしれませんが、白浜の男性はこの日、最大3回舟を漕ぎます。(あきひこもこのメンバーで、合計3回漕ぎました!)
まずは開会式での御願(うがん)バーリー。
白浜の男性陣が乗ったハーリー船が厳かに港内を一周し、海の神様にお神酒を捧げて海の平穏や豊穣を祈る儀式です。
その後、大会注意点の説明などがあり、白浜神社にご祈祷してから競技が始まります。
第一種目:東西対抗ハーリー
いよいよ本祭競技の始まりです!
最初の東西対抗ハーリーは、白浜の男性陣が東西2つの舟に分かれて競漕します!
写真の朱色が西チーム、紫色が東チーム。
西が勝ったら豊漁、 東が勝ったら豊作に恵まれるとの言い伝えだそうです。
レースコースは往復で約800m。
スタートからゴールまでおよそ4分弱の間、各舟のメンバーが息を合わせて全力で舟漕ぎする姿は、岸から見ていてもなかなか圧巻です。
結果は、西の勝利!
ということで、豊漁に大いに期待です。 (釣りも大漁だといいな~笑)
あきひこも西メンバーでした。おめでとう~!
第二種目:学校対抗ハーリー
島内の小中学校の子どもたちによるハーリー競漕です。
子どもたちも往復800mのコースを漕ぐというのだから、たくましい!
こうやって島の子たちはパワフルに育っていくのですね~☆
岸で見守る親や観客たちも、ドラや太鼓を叩くなどして大きな声援を送ります。
そしてそして、結果は見事、白浜チームの優勝~!! わー!!!おめでとう!!
第三種目:職域対抗ハーリー
こちらは地域対抗ではなく、〇〇ガイド協会とか、××荘チームのように、職場や仲良しメンバー、学校OBなど一般出場が可能な競技です。
その分参加団体も多く、確か16チームほど。
順位はタイムトライアルで決まります。
見事に優勝を勝ち取ったのはカヌーガイド会。なんと8連覇だそう!
さっすが、普段からめちゃくちゃ漕ぎまくってるパワフルな皆さんですね~☆
第四種目:婦人対抗ハーリー
出場は、白浜・祖納・干立・上原の各集落代表の婦人チーム!
婦人も往復800mのコースを漕いで競います。
よせーは祖納の舟で出場です。
練習中は腕力も体力も足りず、半分くらいの距離でも全く漕ぎ続けられなかった私ですが、本番は何としても食らいつかねば!と必死に漕ぎ続けました!
初めての完漕に、そしてなにより、練習から応援して下さっていた祖納地域の皆さんの温かさに、感激。。。
結果は残念ながら第4位でしたが、参加させてもらえて本当に良かったなぁと思っています。来年までに、これから力をつけていかねばです~。
婦人対抗の優勝は、、、白浜でしたー!!
私も必死に漕いでいたので本番の優勝姿は見れませんでしたが、 白浜の女性陣、練習量からすごくって皆さん頑張られていたので納得です。
おめでとうございました!!
メインイベント!公民館対抗ハーリー
最終レースであり海神祭の最も山場!
メインイベントが、白浜・祖納・干立・船浮集落の男性陣による公民館対抗ハーリーです。
今では西表島西部の人口としては字上原が断然多いのですが、もともと海神祭は、字西表のこの4集落が参加して始まったという伝統があるそうです。
その伝統が脈々と受け継がれて、今でもこの4集落での競漕がされているのですね。
何だかそれだけでも結構感動です。。。
さて、優勝した白浜の子どもチーム、婦人チームに白浜公民館チーム(男性陣)が続けるか?!
公民館対抗はこれまでのレースと異なり、往復800mのコースを2周、合計約1.6km漕ぎ続ける戦いです!
1.6kmですよ!!
ドラマが生まれないわけがない!!
まずは沖にある旗を目指して、各チーム、全身全霊を込めて全力で漕ぎ出します。
岸から見ていても圧倒されるような力強さ!
全員の息が合い、やっこがぴったり揃って漕がれている光景は、カッコいい~!!と思わずにいられません。
そして特に勝敗を分けるのが、3回ある旗まわりのテクニックとコース取り。
漕ぎ手の皆さんはもちろん、船尾の船頭さんや船首一番前の前乗りの方の判断とやっこの捌き方によって、スピードを落とさずに向きを変えられるか、スムーズに回れるか、などが大きく変わってきます。
ここにまた練習の成果が発揮されるのですね。
特に岸側の旗まわりは、皆さんの息遣いを感じるほど間近で真剣勝負を感じて圧巻でした。
力に限界が来ていても、あとは気合と根性で!漕ぐ!漕ぐ!漕ぐ!!
ゴーーーーール!!!
・・・自分の目で見ることに夢中で、遠景写真しか撮れてなかった。。。ごめんなさい!!
でもでも、なんとなんと、白浜公民館チーム優勝でしたーーー!!!
つまり、三部門完全制覇!!!
この三冠達成は白浜集落の歴史の中でも史上初だそうです。
令和初のお祭りで、私たち初参加のお祭りで(←便乗)、本当に素晴らしい!!
白浜集落の皆さま、おめでとうございました!!
興奮冷めやらぬ表彰式。
歴史上初めて、三つの優勝旗を白浜が勝ち取ったということで、皆さん本当に素敵な笑顔をされていました!
目が回るほどに忙しい中で、厳しい練習を重ねてきた漕ぎ手の皆さん。
練習に付き合って様々なアドバイスをしたり、差し入れを持ってきたり、あるいは、代わりに幼い子どもたちの面倒をみられたりして、漕ぎ手を支えてきた地域の方々。
お祭りを通してこんな風に地域が結束できるんですね。
結果はもちろんですが、そういった地域の力強さと温かさに、とっても感動しました。
さて、表彰式の後は式典が催され、未就学児によるダンス、中学生による太鼓の披露や、青年会・婦人会・老人会による伝統的な踊りなどが奉納されました。
記事がとっても長くなってしまったので泣く泣く省くことにしますが、式典も白浜の皆さんの努力と想いが詰まっていて、参加させて頂けて良かったと心から思いました。
ちびっこからおじいさんおばあさんまで、白浜住民全員の長~い22日間は、とっても素敵な時間でした。