住む場所を考えるとき、特に年齢が上がるにつれて気になるのが、「病院」についてではないでしょうか?
今回は、離島を代表して、私たちが住んでいる沖縄県竹富町、西表島のケースをお話しします。
「西表島に病院はあるの?」
「もし病気やケガになったらどうなる?どうする?」
移住を考えている方はもちろん、西表島観光を予定されている方にも、読んでいただけたら嬉しいです。
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西表島を含む竹富町、"病院"はありません
結論からいうと、石垣島以外の八重山の島々を有する沖縄県竹富町には、「病院」はありません。
医療法という法律上、医療機関は「病院」と「診療所」の2種類に分類されており、竹富町にはこのうちの「病院」がないんです。
病院と診療所の違い
「病院」を名乗ることができるのは、患者が入院できるベッドの数が20床以上の医療機関。
19床以下や入院できるベッドを持たない医療機関が「診療所」です。
専門性が高く、重症患者や難病患者、入院を伴う医療を中心に扱う「病院」に対して、「診療所」は外来中心、"かかりつけ医"の役割を担っています。
竹富町には、診療所が6カ所
竹富町に病院はないとお伝えしました。
代わりにある医療機関は診療所。上の図の通り、現在、5島6カ所にあります。
- 西表島、小浜島、波照間島:県立八重山病院附属の診療所
- 竹富島、黒島:町営の診療所
竹富町の中で、現在医療機関が全くないのは、鳩間島と新城島。
そのため、鳩間島は西表西部診療所、新城島は大原診療所(西表東部)の管轄となっています。
西表島にある診療所は2カ所
竹富町の中で最も面積が広く、島民も多い西表島。
ジャングルが9割を占める島内で、島民は、大きく分けると西部と東部の2カ所に分かれて暮らしています。
診療所も西部と東部に分かれて1カ所ずつ。詳細は下記です~。
大原診療所(西表東部)
受付時間 | [AM] 8:30~11:30 [PM] 13:30~16:30 |
休診日 | 水PM(訪問診療のため)、土、日、祝 |
診療科目 | 全科プライマリケア |
診療設備 | 各種血液検査、心電図検査、レントゲン撮影、腹部超音波検査 |
診療体制 | 医師1名、看護師1名 |
診療圏 | 豊原・大原・大富・古見・美原・高那 |
住所 | 沖縄県八重山郡竹富町字南風見201-131 |
TEL | 0980-85-5516 |
土日祝 | 緊急時は、「119」へ電話! |
大原港から少しのところに位置。
西表島東部は西部より人口が少ないとはいえ、大原診療所で約1,000人の島民をカバーしています。
西表西部診療所
受付時間 | [AM] 8:30~11:30 [PM] 13:30~16:30 |
休診日 | 火PM(訪問診療)、木PM(鳩間巡回や老人ホーム診療)、土、日、祝 |
診療科目 | 全科 |
診療設備 | レントゲン、エコー、心電図、除細動器、簡易血液検査 |
診療体制 | 医師1名、看護師1名、事務員1名 |
診療圏 | 西表西部全体、鳩間島 |
住所 | 沖縄県八重山郡竹富町字西表694 |
TEL | 0980-85-6249 |
土日祝 | 緊急時は、「119」へ電話! |
2019年下期、西部診療所は木曜AMも臨時休診になっていました。
上原港から車で約25分、西表島西部で最も古い祖納という集落にあります。
西部地区は人口も観光客も多いうえに、西表島島内ながら船でしか行けない船浮集落や、島唯一の老人ホーム、高速船で行く鳩間島も診療圏。
西表島&鳩間島の島民 約1,560人に医師1人という状況で、自分がお医者さんだったら、責任の重さにヒィィ!となりそうです。
ひとりしかいないお医者さんのご苦労を考えると、本当、頭が上がらない思いになります。。
\西表島で医薬品を手に入れるには?/
西表島の診療所って、どんなところ?
私たちの住んでいる西部にある診療所がこちら⤴
いかにも島の診療所という感じでしょうか??
入ってすぐ待合室があり、その先が処置室と診察室になっています。
診療科目は、全科目!
西表島西部唯一の医療機関とあって、島民のどんな症状も診療対象。
島のおじぃやおばぁが持病の薬をもらいにきたり、子どもが風邪で受診したり。私たちふたりもこれまで、かぶれや打撲などでお世話になりました。
内科、外科、循環器科、整形外科、皮膚科などなど幅広く診てもらえるのは、島民としてはすごく心強く感じます。
専門に特化せずに、全診療科目を診る医師の方は、本当にすごいですよね…。頭の中、どんな構造になっているのでしょう?!
過去には、西表の診療所に赴任した後、南極地域観測隊の医師になった方もいらっしゃったそう。総合医療のスペシャリストしか務まらないと思うと、ただただ尊敬です。。
お医者さんとの距離が近い
島民約1,560人を預かり大忙しのお医者さんですが、素敵なのが、島の人との距離が近いこと。
2020年に赴任されてきた方も、"真面目で優しいめっちゃいい先生"というのがにじみ出てる感じの方です。
私たち世代はもちろん、おじぃやおばぁ、幼い子どもたちやそのご両親たちが、島で安心して暮らせるように、親身になってサポートしてくれていて、すごいなぁと感じます。
西表島の診療所で、できないことは?
総合医療で全科対応の診療所ですが、設備と人員の制約が大きく、残念ながらどうしてもできない治療が多くあります。
胸部以外のレントゲン、精密検査、大きな外科手術などなど。。
西表島の診療所でできない検査・治療が必要な場合は、石垣島の病院に行かねばなりません。
超緊急時には医療用ヘリポートがあり、石垣島からヘリが来て搬送となりますが、もちろんヘリ搬送のような緊急事態は絶対に避けたい!!
ということで、日頃からケガをしないよう注意したり、病気にならないように食生活に気をつけたり、きちんと定期健康診断を受けたりしなければ!と、ひしひしと感じています。
・・・そう言いながらも、暑さにかこつけて全然運動できてなかったりなんですけどね。。。
西表島の診療所、受診時の注意点
すべての離島診療所にも共通して言えることですが、西表島の診療所は、医師1名・看護師1名という非常に限られた人数で維持されているのが現状です。
人手不足の波は、離島の医療現場でも深刻。
急を要しない症状での夜間・祝日の急患が増えてしまうと、医療現場が疲弊してしまい、離島医療が継続困難になってしまいます。
そこで、診療所受診時に注意すべきことは以下の通り。
- 診療時間内に受診する(24時間診療ではない)
- 夜間と土日祝の緊急時は119へTEL
当たり前と言えば当たり前??でも診療所継続のためには、島民みんなで守らねばいけないとても大切なことです。
診療時間内に受診を!
西表島の診療所は、医師1名・看護師1名の体制ですが、かならずしも夜間や土日祝に医師・看護師の方が待機しているわけではありません。
診療所は24時間体制ではないため、命に関わる緊急時以外は、診療時間内に受診することが求められています。
大半の島民は理解して受診していますが、課題は観光客の方。残念ながら、軽度の症状でも時間外診療を求めることが実際に起きているそうです。
そのこともあり、離島医療現場の逼迫問題は顕在化。
残念ながら西表島では、2019年夏から下記の緊急対応が取られることになりました。
- 月~水の夜間=大原診療所が対応(西部➔東部へ約1時間搬送要)
- 木~金の夜間=西部診療所が対応(東部➔西部へ約1時間搬送要)
約1時間の搬送は、西部/東部それぞれの地域の消防団の方々が対応。
平日自分の仕事が終わった後に、いつ来るか分からない出動要請のために待機して、万一の時に備えてくださっています。
医師看護師の方と西表島住民が、みんなで支えて維持している離島医療です。
観光客の方々にも、離島医療の現状を知ってもらって、旅先でのケガや体調管理に気をつけてもらえたらいいなぁと願うばかりです。
健康に気をつけて島で生きる
沖縄、西表島への移住をまだ検討していた頃、心配性の私が最も不安に思っていたことの1つが、西表島に病院がないことでした。
移住を長い目で考えると、同じように医療に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
正直なところ、住み始めた今も医療に関する不安がぬぐえたわけではありません。
ただ、距離が近く親身になってくれる診療所の医師の方がいるのはとても心強く、逆に迷惑をかけないように健康でいたいなと思うようになりました。
島で笑顔で暮らしていくには、予防医療が重要!
暑さでつい、だらけてしまいますが(汗)、健康に気をつけて過ごさねば~!
西表島や沖縄の各離島に観光で行かれる方も、どうぞご自身の体調に気をつけて、無理のない旅程で素敵な旅をお過ごしくださいね。
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